「キミはチョコベーを見たか…」
昭和40〜50年代に少年少女だった人で、このキャッチを知らない人はまずいないんじゃないだろうか? 昭和47年(1972)に森永製菓が販売を開始した『チョコベー』のキャッチだ。チョコベーはヌガーをチョコレートでくるんだお菓子で、同梱の『ベェシール』が人気を呼んで大ヒット商品になった。

ベェシールは50種類あって、当初は子供たちをギャグタッチで描いたものだった。それが昭和50年(1975)年には赤塚不二夫のキャラクターが混じるようになり、結局、昭和51年(1976)にはパッケージ、ベェシールともにミッキーマウスとミニーに変更となってしまった。人気の下降によるテコ入れだったわけで、末期には「ブーラちゃん」や「ベーホー」といったオマケも投入したけど当初の人気が戻ることはなく、昭和54年(1979)を最後にチョコべーは市場から姿を消した。
チョコベーを懐かしく思う人にとって、ベェシールとともに忘れられないのはテレビCMだろう。

田舎の学校の校庭で、いがぐり頭の男の子が片足立ちで両手を広げ、心の中で
「自分の影を見つめて、パッと空を見る」
とイメージすると、影がどんどん大きくなって、ついには山よりも大きくなった影法師がチョコベーのキャラクター・イラストになる。時代設定が当時にとってのレトロだから、今観ると、一体いつのCMなのか頭の中がグシャグシャになりそうだけど、制作は昭和48年(1973)だからね(笑)。とっても詩的で印象深いCMで、日本テレビコマーシャル制作社連盟(JAC)による「昭和の名作CM100選」にも選ばれている名作だ。蛇足ながら撮影は茨城県桜川市の紫尾小学校で行われた。